3日程前、阿部さんって女性から説明が聞きたいという電話を事務所で受けました。
もう18時頃で、山ちゃんも松山さんも帰った後で、事務所に一人いた僕は
そのまますぐに宇田川町にあるその方の自宅に向かいました。
2人の女性がいて、電話をくださった阿部さんがまず自分の事を話し始めてくださいました。
「私は、車にのったまま津波に巻き込まれるという体験をして以来、車が怖くて車を避ける生活をしていました。私は、色々と持病を抱え、病院へ通院する生活を余儀なくされるのですが、その都度タクシーを利用して毎月10万円位タクシー代で使っています。19歳の頃から車に乗っていて、ずっと車のある生活を震災前はしていましたが、今まで、そんな気持ちにはなりませんでした。でも、ここにいる大木さんがこのチラシを持ってきて、誘ってくださって、少し説明を聞くだけ聞いてみようと思って連絡しました。」
僕は、一通り説明した後、カーシェアリングについてご理解頂けた後で、提供候補の車を紹介していきました。
そして、阿部さんと大木さんは一台ずつ車を見ていきながら、一台の車を見た時、阿部さんの顔が変わりました。
「この車、乗ってみたい。」
静岡県の神谷さんがもし出でくださっている赤いヴィッツでした。
「いままで、車から避けて来たのに、今日もどうしようか迷いながらいたのに、この車見たら『ハンドルを握りたい』ってすごく思うの。今まで赤色の車って乗った事がないけど、何故かこの色に魅かれるわ、私が今灰色だからかもしれない。」
すると、阿部さんは、手を目に当てて
「こんな前向きな気持ち初めて。なんだか私変われそう。これうれし泣きです。」
と涙を流されて喜んでくださいました。
お友達の大木さんも
「阿部さんのこんな笑顔見るの久し振り。私も嬉し~い。この車でカーシェアリングさせていただきましょう」
一通り説明を終えて、いろんなお話を聞かせていただいて、僕が阿部さんのお家を出たのは、21時前頃でした。夜も遅かったですが、伝えたいと思ったので提供者の神谷さんに連絡して、このことを伝えました。
G.W.に神谷さんが車を静岡から持ってきてくださることになりました。
僕も今からG.W.が楽しみです。
ハンドルを握りたい
2012.04.22