地震発生から11ヶ月が経ちました。
活用している車は523台。
貸出は4,776件、このうち9月の豪雨による貸出は210件です。
9月の豪雨では多くの方々が車を被災し、約170名の待機者がいましたが、たくさんの方々のご協力のお陰でついに13名となりました。必要な方全てに車を届けた状態で新しい年を迎えていただける目途が立ち、ほっとしています。
軽トラ、貨物車の貸出も変わらず続いています。公費解体が始まるため災害ゴミを処分したい方、仮設住宅への引っ越しで家財道具を運びたい方、雪が積もる前になんとか…と思っている方が多いように感じます。
この一カ月車を届けた皆様の笑顔と喜びのメッセージをぜひご覧ください。
さて、私たちは、能登の支援をはじめ、これまで様々な災害現場で「災害時の車の問題」について、向き合ってきました。11月18日にNPO法人セイエンの関口代表のご協力で自民党のNPO懇談会に代表理事の吉澤が参加しお話しさせていただく機会をいただきました。その時、お伝えした私たちが感じているこの問題の課題と提言を3つご紹介させていただきます。
1. 災害時の車の問題が把握されていない
災害時には多くの方々が車を被災し、お困りの状況に陥ります。片付けに必要な軽トラックも不足し、被災された方々が行う片付けや、災害ボランティアセンターの活動に支障が出ています。自治体の災害対応や応援職員が活動するための公用車も不足します。
そんな状況が起こっているにもかかわらず、被災車両の台数や状況に関するデータが十分に収集されていないのが現状です。そして、その対策がほとんど講じられておりません。
実情を把握することから対策は生まれます。まずは、状況を把握しようと試みることが必要です。被災車両台数を把握する1つの案として罹災証明発行手続きの際に車の状況を確認する設問項目を設けるということを提案しました。既に実施している市町村があるので全国で統一してやるだけで、まずは凡その被災台数の把握が可能となるでしょう。
2. 車の支援制度が確立されていない
現在、災害時には住宅再建のための支援制度はありますが、車の支援制度はありませんでした。しかし、今回の能登地震では、「石川県地域福祉推進支援臨時特例給付金」が創設され、車を被災し一定条件を満たす世帯に一律50万円が支給されました。この制度は、被災された方々にとって大きな助けとなっています。
車の支援が必要なのは能登の災害だけではありません。災害時に車を失うことはほとんどの災害に共通する課題です。車の支援を特例ではなく、恒常的な制度として位置付けて欲しい。そうすれば、今後起こりうる災害で車を被災し途方に暮れる方々を力強く支えることができるようになります。
3. 被災者へ無償で貸し出される車の大きな税負担
能登半島支援で私たちはこれまでに、多くの車両を被災者へ無償で貸し出してきました。しかし、これらの車両にかかる自動車税や重量税として、現在までに約800万円を負担しています。一方で、特定用途の車(救急車や福祉施設の送迎車等)や環境性能の高い車の税金は減免されています。であれば「被災された方に無償で貸し出される車も減免の対象となってもよいのではないか」と私たちは考えます。
南海トラフ地震のような大規模災害が起こった場合、おそらく支援規模は今の10倍以上となり、税負担が億単位に膨らむことが予想されます。もちろん税金以外にも経費が掛かります。残念ながら今の私たちにそれらを賄うことは難しいです。また、この費用負担によって他の企業や団体が車両支援に参入しにくい状況も生まれています。より大規模な災害に備えるために今のうちに車の支援を行いやすい税制等の費用負担を支える制度を整える必要があります。
最後に、被災地で車にお困りの皆様のお声に耳を傾けていただきたいと、動画のQRコードをご紹介しました。本当は再生して直接お伝えしたかったのですが5分という限られた時間の中だったため、後程ご覧いただきたいとご案内致しました。
ご案内した動画
5分の話で、何かを変えることができるかというと、実際には難しいと思います。
制度を変えたり作ったりすることは、様々な事情も絡み合い簡単ではないからです。
でも、私たちは、現場の声や支援の課題を伝え続けていきます。
少しずつでも良い方向に向かっていくために。
発災時には現場に入り現地調査・支援体制の構築、平時は災害に備える仕組みづくりを
担う常勤スタッフを募集しています。 詳細はこちらをご覧ください。
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