活動レポート
REPORT

支援開始から11カ月 災害時は自治体の公用車とボラセンの軽トラが不足する

2024.12.15

私たちが能登半島で支援活動を開始してから11ヵ月が経ちました。
貸出総数は4,866件となり、おかげさまでほぼ待機者が解消されました。


支援開始以来、1日と15日に活動の報告を続けてまいりましたが、今年最後の報告でようやく待機者解消をお伝えすることができて、ほっとしています。


しかし、活動を行う中で次の災害に向けての課題も明確になっているため、そこに向き合わなければなりません。今回はその中でも特に重要な「2つの車不足」、「自治体の公用車不足」、そして「災害ボランティアセンター(以下ボラセン)の軽トラック不足」の問題についてお伝えしたいと思います。


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1.自治体の公用車不足


災害発生時、自治体から車の支援の相談を受けることが多くあります。ただ、自治体は、被災者個人と比べて企業等から支援を受けやすい立場のため、まずはそういったところへ相談いただくようにご案内しています。しかし、これだけ災害が頻発する中、思うように支援を集めることができないケースも多くあるようで、そういう時には支援をさせていただくようにしています。


では、自治体はなぜ公用車が不足するのでしょうか。


その状況を2つの被災経験自治体の職員が語っていただきました。ご協力いただいたのは東日本大震災を経験した石巻市役所と令和2年に豪雨被害を受けた球磨村役場です。

要するに災害直後に業務が急増するから公用車は不足します。

・被災状況の調査
・罹災証明のための家屋調査
・避難所の開設と運営
・各所に設置される相談窓口の対応

これだけでも車が必要なのに、石巻市では300台ある公用車のうち100台が被災しました。
更に地元のレンタカー会社やリース会社も被災し、車の調達に大変苦労されました。


一方、これまで災害対応で関わってきた自治体へ行ったアンケートでは約6割の自治体が災害対策として公用車不足に備えることができていない状況でした。災害を経験していない自治体では備えることができていない割合はもっと多いと思われます。

2.災害ボランティアセンターの軽トラ不足


今回の能登の災害で、私たちは65台の車両をボラセンに貸し出しました。その多くは軽トラで私たちが現地に運び込んだ軽トラの半分以上はボラセンで活用されました。


ボラセンでは、全国から集まるボランティアさんの活動に車が必要となります。

・ボランティアさんの送迎
・物資の運搬
・被災者の引っ越しや片付けの運搬

「車両の確保台数によってボランティア募集数が決まる」

と、ボラセンの担当者の言葉がありました。
これは、かなり重要ですよね。


今回、私たちが車を貸し出した石川県内の9つの災害ボランティアセンターがアンケートに協力いただきました。


アンケートの結果によると災害発生前に、災害ボランティアセンター用に準備できていた車の総数は9団体合計51台でした。一方、最終的に活用した車の総数は332台でした。273台の車が不足し新たに調達したことになります。


発災後、100台近く調達された団体などもありました。地方でそれだけの車を調達することは本当に大変だったと思います。また、10台以上のレンタカーを借りたボラセンは4つあり、最も多いところでは79台。この費用も大きな負担になっていたということでした。


次の災害への備えについて確認しましたが、備えに関する問題意識をお持ちのようですが、具体的な対策まではまだ手を付けることはできていない状況のようでした。もちろん、まだ目の前の対応にお忙しくされているからということも大きな要因だと思います。


ただ、備えたいが財政力が弱く、維持費のかかる自動車を余分に保有することは難しいという切実な実情もいただいた回答の中であり、ここが本質的な問題のようにも思いました。


さて、自治体もボラセンも災害時に車が不足し困る状況にありますがその具体的な備えについて、持つことができていない実情があります。


この2つの車不足の問題に、私たちももちろん協力してまいります。


具体的には私たちが災害時の車不足を解消するために普及を進めている「災害時返却カーリース」を進化させ、「自治体プラン」と「社協プラン」を新たに作ることにしました。


自治体プラン


被災地の自治体が公用車不足に直面した際、他の自治体から契約中の車両を返却してもらい、一定期間無償で貸し出します。


社協プラン


ボラセンで車両が不足した際、他の社会福祉協議会から車を返却してもらい、一定期間無償で貸し出します。


自治体も社協も、既にそれぞれ他の自治体や社協から車を借りたり、寄贈を受けたりしながら対応しているケースが見られました。一方、保険に関して整理が不十分であったり、災害対応後に寄贈を受けた車をもて余すような状況があるため、積極的には行われていない状況でした。


今回提案するプランは、自治体同士、社協同士の助け合いを行いやすくします。


災害時にはこれからも自治体の公用車もボラセンの軽トラも不足し続けます。いずれも不足すると被災地の復旧の遅れに大きく影響します。一つ一つの自治体や社協の問題ではなく、都道府県や国を挙げて向き合う必要があるテーマであると私たちは考えています。


私たちは、自分たちにできることとして「災害時返却カーリース自治体プラン・社協プラン」の提案を通じて、災害時の車両不足に備えるお手伝いをしていきます。この提案に限らず、この問題について具体的な備えが進むことを心から願っています。



■災害時返却カーリース自治体プラン・社協プランの問合せ先
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