能登半島で支援を開始してから、本日で丸一年を迎えました。
この一年間における貸出件数は、のべ4970件。
能登に運び込んだ車両は、527台となりました。
今回は、1年間の貸し出し状況から確認できる変化と、現場で感じている今の状況についてお伝えいたします。
以下は、昨年1月から12月までの貸出件数を、月別にまとめたグラフです。
昨年前半に特に需要が大きく、後半に入って少し落ち着いてきた頃に、9月の豪雨災害が発生し、また需要が増えました。
ピーク時ほどの件数ではありませんが、発災から一年以上が経過した今も、一定の需要が続いています。
時間の経過に伴い、利用用途には少し変化が見られました。
車両返却時のアンケートで利用用途を確認させていただいており、以下は貨物車両の短期貸出を利用された方の回答をまとめたものです。
時間の経過とともに「引越し」の割合が増えてきていることが分かります。
また、「その他」とまとめていますが、日常的な買い物や送迎、修理資材の購入での使用との回答も少なくありませんでした。また2024年前半には「洗濯」との回答が一定数見られました(その他に含む)。
皆様の状況に合わせてその時々に必要な用途で車を使用いただいていることがうかがえます。
実際に、1月に入って車両を貸出/返却に来られた方々に、被災から一年経った今の状況や車両の利用用途をお伺いしました。
Aさん(大型バンの貸出):「親族の家に仮住まいしていたが、一旦正式にそこに住むことになった。元々使っていた家具などを新しい家に運ぶために車を借りたい。工事関係の仕事をしているので、発災直後から働き詰めの状況だったが一年経ってやっと少し落ち着いた。」
Bさん(軽トラックの貸出):「自宅は公費解体待ちの状況。仮設住宅に引っ越すことになったので軽トラックを借りたい。」
Cさん(乗用車の返却):「地震で自宅が全壊した上に、車も仕事もなくなった。その後仮設住宅に移り住み車も用意したが、豪雨で家も車も水没し、隣県に引越しして仕事を始めた。借りていた車は通勤や日常生活に利用。やっと新しい車が準備できたので返却します。」
また、長期で車を利用いただいていた方々が、「新しい車が納車された」と返却に来られることも増えています。そんな生活再建を一歩進めた皆様のお姿を拝見する度に、少しでもお役に立てたことに嬉しく感じます。
利用者の生の声を動画にもまとめましたのでぜひこちらもご覧ください。
発災から一年という時の流れから変化は確認できるものの、生活の再建にはまだまだ時間が必要な方々も多く、やりきれない思いを持ち続けていらっしゃる状況にあります。
昨年、能登で出会ったある利用者の方が、
「車を無くし、『どこにも行けない』と思うと心が塞がってしまう感じがした。今回車を借りられると聞いて、視界が開けたように感じて、とても前向きな気持ちになれた」
とお話されていました。この言葉を聞いて、車は単なる移動手段というだけではなく、日々の行動を自由に選択できるという心の支えでもある、ということを改めて気づかされました。
今後の活動でもそのことを忘れずに、被災された方々に寄り添った支援をおこなっていきたいと思います。
引き続き、あたたかいご支援をよろしくお願いいたします。
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発災時には現場に入り現地調査・支援体制の構築、平時は災害に備える仕組みづくりを
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