私たちは、カーシェアリング以外に様々な車の相談を受けてきました。
家庭の経済事情で車を持つことができない若者、病気で仕事ができず車を持つことができない方、集中豪雨の時など車が被災された方。
人生は必ずしも順風満帆ではなく、震災以外でも様々な事態が起こるものです。
そんな時、数か月単位で車を借りることができ、生活のリズムを維持したり、取り戻していただくようなサポートを行いたいと考えました。
2015年2月、私たちは一つの新しい事業をスタートさせました。
生活に困った時に格安で借りれるレンタカー『サポート・レンタカー』です。
SupportRentalCar.pdf
面談を行い、事情が確認されたら、1.5万円/月で軽自動車を貸し出します。
ご自身で車を購入していただき、そのサービスを卒業していただくことを目指しており、3月毎に5,000円ずつUPしていく料金体系を基本としています。(面談時の状況に応じて変更します)
最初の利用者は、Aさんご夫婦でした。
震災後、旦那さんが脳梗塞で倒れ、生活のリズムを崩されたまま車を持つことができないまま、旦那さんの病院までの足の確保に大変苦労されていらっしゃるようでした。
今回、車を貸出し、車の通院や、旦那さんが行っている傾聴ボランティアの時などの足として活用が始まりました。そして更に、奥さんが漁の手伝いにこの車を使って行き始めました。
(サポート・レンタカーで出勤し、ワカメ漁の仕事をするAさんの奥さん)
車の貸し出すことで仕事を見つけていただき、安い車を手に入れて生活を安定させていっていただければと思っています。
<石巻の被災者支える>低所得者に格安レンタカー
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201503/20150314_13049.html
※記事の中で「保険料、維持費用は利用者が負担」となっていますが、実際には協会が負担します。
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事業を始めた時、本件に関する相談がありました。その現場は、石巻から遠く離れた岩手県大船渡市。
大船渡市では、共生地域創造財団さんが私どもの3台の車をレンタカーとして借りてくださり、被災者の訪問支援のサポートを行っています。
(共生地域創造財団大船渡支部の皆さん)
石巻の事例を紹介し、情報交換を行っているところ。
その、大船渡の共生地域創造財団さんが支援されている方の案件で相談がありました。
経済的な課題を抱え自己破産されたシングルマザーの方が相談者(以後Bさん)でした。
Bさんの生活再建のサポートを共生地域創造財団さんの支援員の方がされており、自己破産後(車売却後)に働くために車がどうしても必要だが、車を手に入れる術がないとのことでした。
私たちはすぐにBさんに車を貸し出し、Bさんは仕事を見つけることができ、長期的な生活再建を計画的にこれから行うことになりました。
(計画書を元に打ち合わせしている様子(左:当協会スタッフ小野寺、右:共生地域創造財団さん))
支援員さんとBさんの2年間の生活再建計画を眺めながら、サポート・レンタカーの2年間の貸し出しプランを決めていきました。
例えば、毎月の支払いを抑えて、母子家庭の補助金の入る月には少し多めの支払いを行っていただき、2年後には●●円くらいの貯金が残り、息子さんが高校卒業後、免許を取得する位のことができて・・・といったような話し合いを行いました。
サポート・レンタカーは基本的な料金体系はあるのですが、このケースのようにその事情ごとに柔軟に対応しながら、生活再建を支えることを優先して取り組みを行ってまいります。
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この事例にあるように、サポート・レンタカーは生活支援員の方とタイアップすることで、非常に大きな効果を生むことができると考えています。
石巻においても、一つの動きが始まりました。
NPO法人SWITCH、NPO法人TEDIC、日本医療社会福祉協会、フードバンク他数団体で石巻でも生活困窮者支援のための連携組織が結成されました。私たちも設立に参画し、協働を行うことになりました。
(生活困窮者支援を行う団体らが集まり情報交換している様子)
昨年末に「石巻市の生活困窮者支援を考えるシンポジウム」が行われた際、その際講演をされていた厚生労働省社会援護局 生活困窮者自立支援室の方から、車による生活再建のための支援は全国的にまだ実践されていないので、ぜひここで実績を作って教えてほしいといったお話をいただきました。
http://ishinomaki.kahoku.co.jp/news/2014/12/20141218t13007.htm
まずは、一つ一つの事例に向き合い、より大きな貢献を行えるように取り組みを進めていけたらと思います。
生活再建を後押しする『サポート・レンタカー』
2015.05.06